日本の医療政策とトルコとの比較分析

日本の医療政策とトルコとの比較分析

日本は、高い平均寿命や低い乳児死亡率といった指標から、医療政策における世界的な「ゴールドスタンダード」の一つとみなされています。その制度は、「誰もが、どこでも、いつでも医療を受けられる」という理念に基づいた、利用しやすく持続可能性を重視した仕組みとなっています。

 

1.日本の医療制度の基本構造

1961年に導入された**国民健康保険制度**は、日本の医療政策の中核を成しています。加入は義務制で、以下のように運営されています。

  • 保険制度の構成:
    • 被用者: 事業主と被保険者が保険料を折半する社会保険に加入。
    • 自営業者など: 地方自治体が運営する国民健康保険に加入。
    • 注記: 低所得者の保険料は国が補助します。

  • 自己負担(自己負担割合):

医療サービスは無料ではありませんが、負担は抑えられています。一般的に医療費の30%を自己負担し、残りの70%は保険で賄われます。就学前の子どもおよび70~74歳は20%、75歳以上は10%です。

  • 予防医療:

治療よりも予防を重視し、年1回の健康診断(人間ドック)やがん検診が広く実施・推奨されています。

  • 現在の課題:

日本は「超高齢社会」であり、介護費用の増大や地方における医師不足が、制度の持続可能性に大きな課題をもたらしています。

 

2.比較分析:日本とトルコ

地理的・人口構成は異なるものの、日本とトルコはいずれも「福祉国家」の理念のもと、類似した目標を掲げています。トルコでは2003年に開始された医療改革(健康変革プログラム)と一般健康保険(GSS)制度により、医療の包括性が日本に近づきました。

 

トルコの医療制度概要:

トルコでは、公立、大学、民間の混合型医療提供体制が採られています。GSS加入者は公立病院を無料または非常に低コストで利用でき、民間病院では差額を支払うことでサービスを受けることができます。

類似点:

  • 国民保険制度: 両国ともほぼ全ての国民を保険制度でカバーしています。
  • 公的財源: 医療費の多くが国および社会保障機関によって賄われています。
  • 予防医療: 予防接種、母子保健、定期検診が重視されています。

 

主な相違点:

項目 日本 トルコ
支払い方式 公立・私立を問わず一律30%の自己負担。 公立病院は原則無料、私立では差額負担あり。
人口構成 高齢者中心。慢性疾患管理と高齢者ケアが重視。 若年層が多い(高齢化進行中)。母子保健と救急医療の需要が高い。

 

医療機関へのアクセス

日本には「フリーアクセス」制度があり、紹介状なしで自由に専門医を受診することができます。一方、トルコでは家庭医制度が強化されているものの、病院への直接受診が依然として多い状況です。

 

日本とトルコはいずれも、「医療を受ける権利」において成功したモデルを示しています。日本は高齢化が進む中で財政的持続可能性の維持に取り組む一方、トルコは若い人口の多様なニーズへの対応と医療サービスの質の標準化に注力しています。両国の主な違いは、人口構成に起因する医療需要と、患者負担(財源)モデルにあります。